世界の言語教育Part3

 2008-07-16
今回は、ヨーロッパの小国ですが、英語教育先進国のオランダを覗いてみたいと思います。

1993年にヨーロッパを旅行する機会がありました。イギリスからフェリーでドーバー海峡を渡りアムステルダムに降り立ちました。ヨーロッパの中でイギリスに次いで「英語が通じる国」という体験は、鮮明に覚えています。アンネ・フランクの家に行くまでに子どもからお年寄りまで4〜5人の人に英語で道を尋ねたのですが、皆素晴らしい英語で返答してくれたのです。ネイティブレベルといってもいいほど淀みないのです。これにはびっくりしました。

旧植民地でない国でこれほど英語が通じるのはなぜなのか、不思議に思ったものです。後日、オランダの英語教育について調べる機会がありました。オランダは、ヨーロッパの中でも小国で、国家政策として、子どもの頃から英語は重要な言語と位置づけました。1985年から小学校の5、6年生から英語が必修になりました。日本よりも25年も前に必修化になったわけです。この教育制度の変革は大きいと思います。また、テレビ放送で英語番組が普通に流れています。子どもたちは、小さいころからイギリスのBBC放送、アメリカのCNNなどの英語放送を自然に見て英語を習得していきます。オランダのテレビは吹き替えではなく、皆字幕になっています。

確かに、オランダ語と英語は「近い」という部分がありますが、小学校からの充実した英語教育、テレビという影響力が、オランダ人の英語力を飛躍的に高めたといえましょう。また、イギリスに近いといった地理的な背景もあり、英語に触れる自然な環境はかなり多いわけです。

オランダは、ある意味特殊な言語教育事情と言えるかもしれません。しかしながら、学ぶ点も多々ありますね。


■粋な英語フレーズ

・もうちょっとのところで思い出せない
 It’s on the tip of my tongue.

世界の言語教育Part2

 2008-03-06
前回は、ヨーロッパの言語教育についてみましたが、今回はアジア諸国での英語教育に着目してみたいと思います。

日本と他のアジア諸国の英語教育

下の表は、アジア主要国での小学校での英語教育の学習時間数の比較です。資料は少し古いですが、概要を掴む上で十分な資料だと思います。これらの資料は、主に都市部での教育事情ですので、下の表はその国全体の状況を表すものではありませんが、それでも都市部では、タイをはじめ十分すぎるほどの時間を英語教育に割いていることがわかります。韓国や中国では学習レベルも高く、小6段階で日本の高校受験レベルの英語力を要求しています。


アジアの教育事情_表


中国の小学校では、年間160時間も英語教育をしています。これは、日本の公立中学での英語の年間授業時間数(約105時間)と比較してみてもはるかに多い時間数です。小学生に要求されている英語力は、日本の公立中学校卒業のレベルといえましょう。2年前に中国の胡 錦濤国家主席が卒業した小学校(北京航空大学附属小学校)を訪問したことがあります。校庭で遊ぶ小学校2〜3年生と英語で話ましたが、そのレベルの高さに舌を巻いたものです。さらに驚いたことは、留学経験もなく、英語力もそれほど高くない若手教師が指導にあたり、素晴らしいALL ENGLISHによる指導を実践していたことです。

タイのように極端な例もありますが、学校外でも英語学習に多くの時間数を費やしており、日本の時間数がかなりお粗末に見えます。中国やタイなども英語教育ブームはここ数年で体制が整っています。すでに、韓国などでは、小学校で英語を学んだ子とそうでない子の差が顕著に現われています。小学校での英語教育の成果が出ています。日本もようやく英語必修化になりますが、他のアジア諸国との間の溝を埋めるには相当な時間と労力がかかるでしょう。 今後の動向に注目したいです。

世界の言語教育 Part1

 2008-02-25
今回は2回にわたり、世界の言語教育についてみていきたいと思います。

■世界の言語
皆さんは、世界で母語話者の人口でもっとも多い言語は何だと思いますか。もちろんお分かりですね。中国語(普通語)です。

世界の言語数体系によると、母語話者の人口数別順位は以下のようになります。

1 中国語(普通語) (8億8500万)
2 スペイン語 (3億3200万)
3 英語 (3億2200万)
4 ヒンディー語 (1億8200万)
5 日本語 (1億2500万)
6 ドイツ語 (9800万)
7 上海語 (7717万)
8 ジャワ語 (7550万)
9 フランス語 (7200万)
10 ベトナム語 (6689万)

意外なことに日本語母語話者の中で人口数別順位が5位になります。
さて、公用語、第二言語(ESL)として、あるいはビジネス上で使用されている数を含めますと、英語がトップに躍り出ます。10億を越えるようです。さらに世界中の学校で外国語教育の筆頭に上がるのが英語ですから、それらの学習者を加えますと、英語を何らかの形で日常使っている人口は更に増えることになります。上位3位は以下の通りです。

1 英語
2 中国語(普通語)
3 スペイン語


■ヨーロッパの英語教育事情
 ヨーロッパの英語圏でない国に住んでいる人々は、母国語はもちろん、英語もきれいに話すことができるのは一体何故でしょう。
 
 彼らが英語をうまく話すには、そもそも彼らの母国語が英語に近いからであるという言語学的な事実があります。ドイツ語、オランダ語、英語はインド・ヨーロッパ語族のゲルマン語派、西ゲルマン語という分類に属し、また北欧三国の言葉は、英語の親戚のようなものなのです。つまり、大阪弁や東北弁を話している人が標準語を話すのと同じくらいのミニマムな努力で済むわけです。だから、彼らは日本人より英語の上達が早くて当然なのです。さらにテレビなども英語のまま流れ、普段から英語に接する機会が多いというのも彼らにとっては英語上達の大きな力となっています。

 では、オランダやドイツ語圏の小学校で実際にどういった授業が行われているのでしょうか?小学校1年生から英語のあるクラスでは、英語の授業もお遊びの一環のようなもので、積み木を使ったり、イラストを書いたり、先生と英語の歌を歌ったり楽しみながら英語を学んでいます。もちろん学校内の授業だけには留まらず、家庭でも進んで英語を話すよう常にコミュニケーションを取り、「英語は楽しい」というポジティブな意見を持つようにします。

 今の日本の状況は、英語は難しいものだという思い込みが強すぎて、何も学ばないうちから英語を毛嫌いしている人も少なくありません。ですから、日本の子供たちに早い時期から「英語は楽しい」「英語はそんなに難しくない」というポジティブな姿勢を身に付けてもらうともっと英語を身近に感じるのではないでしょうか。

 では、日本とヨーロッパでの英語教育で決定的な違いはなんでしょう。
それは、彼らの学校教育が偏差値に根ざした競争とはかけ離れた自由な雰囲気のものとで行われているという点です。彼らの学校ではクラスメイトの前で間違った英語を話すことは恥でもなんでもないですし、授業中に先生の前で文法的におかしな英語を話したからといって、内申書の成績が下がるのを気にする必要もないのです。ですから、生徒の心の中から、競争心を取り除き、間違うことを恐れずに英会話に望める環境が日本の学校でも確立されれば、日本の子供たちも楽しく英語を学ぶことができるようになるでしょう。

次回に続く・・・。
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